村上慧
Satoshi Murakami
Satoshi Murakami
1988年生。私(わたくし)と公(おおやけ)の関係に着目し、個人の生活が社会に与える影響を考察している。
近年の展覧会に「移住を生活する」(金沢21世紀美術館、石川)など。
<今回作品>
〇作品タイトル:
土への手つき(ショベルカーで花壇を作る)
〇作品概要:
大井川沿線で、誰が植えたか定かでない野菜や花をたくさん見かけた。
鉄道会社が所有しているはずの駅舎が、町の食堂として使われていることも知った。
そして抜里駅から見える河川敷にはかつて、県が管轄する土地を自らの畑として耕す人たちがいたことも教わった。
生活は法よりも広いという当たり前のことを思い出させてくれた。
それは数年前に岩手県陸前高田市で見た光景と結びついた。
砂っぽい風景の中、頭上高く灰色のチューブ状のものが張り巡らされていて、所々から土が吐き出されている。
山を切り崩した土をベルトコンベアで運び、大地に積み、街まるごとを10メートル以上嵩上げする国の復興事業ということだった。
その怪物のような装置の下に、市民の有志で花壇を作っている一角があった。
同じ土なのに、重機で運ばれる土と花壇の土とでは全く違うものに見えた。
〇作品設置場所
大井川鐵道抜里駅付近
<過去作品名及び制作年>
《広告看板の家 高松》/2019
撮影:木奥恵三